「社会に奉仕するクリスチャンとキリスト教会活動の実践と遂行」を揚げて、和田山の地に初めての施設「恵生園」を開園して、まもなく30年。神戸聖隷福祉事業団は、真の社会福祉の道を一歩一歩あゆみ続けてきました。 その活動は制度的にも、組織的にも高い評価を得るまでになりました。しかし、社会福祉も変革の時代に。介護保険法や支援費事業法の設立により、新しい業態を迎えようとしています。誰でも社会福祉事業に自由参入できるようになり、社会が承認する事業体だけが残るようになったのです。「サービスの質の競争時代」に入ったといえます。
社会福祉は社会的に不利な立場の人間が相手。単にモノを売る仕事のようにはいきません。人の心に関わる仕事だからこそ、上意下達的、官僚的手法ではない本当のサービスを提供することが大切です。 今こそ創業の原点である「聖隷」命名の由来に立ち戻らなくてはなりません。 聖隷とは「聖なる僕(ホーリー・サーバント)」のこと。利用者の人たちにどれだけ「聖なる僕」として奉仕することができるかが問われるのです。施設に関わる全員、施設運営者・責任者はもちろん、職員の全てが心の中からこの心を持たねば神戸聖隷らしくありません。事業が大きくなり、職員数が多くなった現在、創立者たちのあふれる熱意と意気込み、決断を再確認し、その精神と思想をさらに発展させて受け継いでいくべきときとなりました。
サーバント・リーダーシップとは人に尽くすことから始まります。常に人に対して関心を持ち、聞き上手であること。人が自分自身について考えることを手助けし、人のストレスの原因も考え、仲間の満足という観点から物事を考え、誠実で物事に一貫し、そして信頼されていることがサーバント・リーダーシップです。組織は一人ひとりの職員によって成功を獲得するのです。 このため、サーバント・リーダーシップは施設運営者や責任者の側にあるよりも、全職員の気持ちの中に目覚めていなくてはなりません。リーダーにカリスマはいらないのです。神戸聖隷で働く人全員がサーバント・リーダーシップで利用者に接することで、利用者と対等の関係が築かれ、オープンなコミュニケーションが図られ、いい関係の援助が進められていくことになります。 「ホーリー・サーバント・リーダーシップ」は「サーバント・リーダーシップ」を一層レベルアップするものです。常に教会と歩みを共にしてきたユニークな神戸聖隷だからできる取り組み方です。人間の魂の領域、生きる目的、人間の価値を高め、神の実在や信仰の世界に至る‥‥を、日々の働きの中で具体化していこうというものです。
「あなた方の中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、一番上に成りたい者は皆の僕になりなさい。人の子(イエス・キリスト)が仕えられるためではなく、仕えるために、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのと同じように。」 (マタイ20;26−28)